目次
狭小住宅を居心地よくする 基本の5ヵ条

1⃣デメリットだけではない!狭小住宅のメリットに目を向ける
狭小住宅は床面積にゆとりが少なく、敷地によって採光や通風が難しかったり、プライバシーの問題があったりとデメリットがあります。しかし、メリットも想像以上にたくさんあります。たとえば、動線や間取りを工夫するので、無駄な動きの少ない空間になり、家事が効率的になる、中庭やインナーテラスなど内部に開口をとる場合は、プライバシーが守られた親密な空間になりやすい、などがあります。また、優先順位を見きわめるため、家のコンセプトが決まりやすいといったメリットも。メリットをどれだけ生かすかが、家づくりの成功のカギになります。
2⃣面積で考えるのではなく、空間の大きさで広さをとらえる
家の間取りを考えるとき、リビングは何畳で、何畳の個室が何室あって……と足し算をしていくと、狭小住宅の場合、どうしても床面積が足りないと感じるでしょう。しかし、広さの感覚は、床面積だけではなく、縦の空間の広さがりにも左右されます。たとえば、長い時間を過ごすリビングのソファの上が吹き抜けになっていると、そこにいる間は伸び伸びとした解放感を感じます。個室の床面積を少々削ることになっても、リビングに吹き抜けを設けるプランが多いのは、そのためです。プランニングの際には、空間の大きさを意識してみてください。
3⃣広さを感じさせるデザインのテクニックを取り入れる
広さを感じさせるテクニックとは、錯覚をうまく使ったものが多いのですが、これを使うか否かで、空間の伸びやかさが断然違ってきます。たとえば、大きな面がなめらかにつながっていると、ずっと先までつづくように感じますが、色や素材などを変えて分断すると狭く感じます。そのため、壁や床はできるだけ同じ色・素材で凹凸も少なくつながっているのがいいのです。また、視線が行く先が遠ければ遠いほど広く感受居るので、斜めの線を意識して部屋の隅に窓をつけたり、天井付近に高窓を設けたりすると床面積以上に広々とした空間になります。
4⃣オープンな空間をいろいろな用途に使う暮らしを楽しむ
少ない面積を有効に使うには、間仕切り壁を少なくし、オープンな空間にすることがいちばん効果的です。たとえば、LDとキッチンを独立させると、されぞれに最小限必要な広さを確保しなければなりませんが、LDKをワンルームにすれば空間を補い合えるので、独立したLDとキッチンの面積を足したものより少ない面積でも快適です。書斎と子供の勉強部屋、リビングとパソコンコーナー、洗面室とトイレなど、「間仕切りがなくても暮らせる」という場所は、オープンにしてみましょう。家族のけはいが感じられる家になるというメリットもあります。特に今の時代共働きが多く家族時間も少なくなっている今だからこそお家時間で家族とのコミュニケーションを多くとれる間取りがおすすめです。
5⃣無駄なものを持たない、ものを生かす 収納システムをつくる
家づくりの動機には、持ち物がふえて暮らしが窮屈になったという理由も含まれていることでしょう。しかし、狭小住宅では、持ち物すべてが使っているものかどうか、また新居でも常に生かせるように収納できるかどうかを考えなければなりません。ものは自然にふえていきますが、使わなくなったものもふえていきます。整理してみたら、案外、なくても大丈夫だったというものも。この機会に、ものを生かす収納システムをつくり、維持できるようなプランを立てましょぅ。
間取りづくりの基礎知識
▢どんな暮らしをしたいのかをはっきりさせることが大切
家族の生活スタイルによって、適した間取りは違います。プランニングにあたって、生活スタイルや好みを再確認してみましょう。新居ではどんな暮らし方をしてみたいかも話し合ってください。今の住まいで困っている点を洗い出すことも、いいヒントになるはずです。
平面計画の際に、スペースを用途別に分類して配置することを“ゾーニング”といいます。2階建ての建物なら、1、2階の各フロアのどこにどの部屋を配置するか、各部屋にはどれくらいの広さが必要かをイメージしてみましょう。ゾーイング図は、新居の間取りづくりのたたき台になるものなので、〇や▢などを部屋に見立てて、フリーハンドで描いてみましょう。ゾーニングでは、動線を無駄がでないように、キッチンの隣にしLDをつくるなど、関連性のあるスペースを近くに配置するのが基本です。多少の生活音が伝わっても支障が出ないように、上下階の部屋割りにも注意を。また、パブリックゾーン(LD)にプライベートな動線がなるべく入らないように計画することが大切です。なぜなら、リビングを通らなければ子供部屋から洗面所にいけない間取りでは、来客があったときに気まずい思いをするはずだからです。
ゾーニング図
ゾーニングとは、部屋の配置をおおまかに決めること。ダイニングのそばにきっちやリビングをつくるなど、関連性のある部屋を隣に配置し、プライベートな動線がパブリックゾーンを横切らないようにするのが理想的。
▢2階LDKの逆転プランでは、出入りのしやすさに配慮して
狭小住宅では、1階より光や風お取り込みやすく、プライバシー保護の面でもメリットのある2階にLDKを配置する「逆転プラン」にすることでがよくあります。でも、こうした家でよく聞かれるのが、「来客があったときに、1階の玄関までおりていくのが面倒」ということです。また、階段の位置にもよりますが、ゴミ出しも1階にキッチンがある家より時間が多少かかり、食料品などを買って帰ってきた際にも不便を感じるはずです。
そこで、逆転プランの家に提案したいのが、外階段おつけて、玄関を2階に設ける間取りです。玄関ホールを1室にせず、リビングにとりこんだオープンなプランなら、スペースをとりません。外階段は延べ床面積には算入れされませんが、玄関へのアプローチになるため、家のエントランスにふさわしい体裁にする必要があります。また、買いd何を2ヵ所つくることになるため、コストがかかりますが、在宅時間の長い専業主婦には便利でしょう。
キッチンが2階の間取りでは、ごみの一時保管場所として、キッチン脇にサービスバルコニーを設けると重宝です。LD前のバルコニーの一角をスクリーンで仕切って、ゴミ置き場や物置にしても良いでしょう。
▢敷地条件を見きわめて、最適な窓をプラン
窓には“採光” “通風”という役割のほか、そこから外部に視線が抜けることで、部屋に奥行き感や解放感を与えてくれる。“広がりの演出”という役割もあります。光をいちばんとり込みやすいのは、南側が開けた敷地ですが、昨今の住宅事情では困難なことも多いでしょう。間取りづくりでは、「明るい光=南向きの大きな窓」にこだわるのはNG。また、先にあげた3つの機能を、一つの窓に求めないことも大切です。南に隣家が迫っている立地では、ハイサイドライトやトップライトから光を取り入れ、通風は、ほかの窓からとる方法もあるからです。あなたの敷地でもっとも採光や通風がしやすい位置をチェックしてみましょう。狭小住宅では、窓を広がりの演出にも積極的に生かしてほしいもの。隣家の庭木や近くの公園が望める場所に窓をつければ、自分の家には庭がなくても、緑にふれられ、広がりや解放感が味わえるはずです。
窓プランのポイント |
〇敷地の条件を良く確認して、もっと採光や通風がしやすい場所に大きな窓をつけることが効率的。 |
〇密集地では、隣家の窓の正面にこちらの窓がこないようにずらすと互いのプライバシーが守られる。 |
〇窓の高さやサイズ、種類によって、光の入り方などが違う。スペースに合わせて選ぶとよい。 |
〇風の入り口と出口を考えて窓を配置すると、風通しがよくなる。 |
〇1部屋に2面以上の窓をつけるのが理想的で、窓が1ヵ所の部屋は、室内窓を設けるとよい。 |
〇断熱性を良くするのは、ペアガラスサッシを。窓の錠やガラスは、防犯面も考えて選ぶとよい。 |
▢風の入り口と出口に窓を設けて、さわやかな風が通り抜ける家に
建物の換気が悪いと湿気がたまり、建物にも住む人の健康にもよくありません。風通しをよくするには、風の入り口と出口になる位置に窓を設けて、家の中に空気の流れをつくります。大きな窓があっても袋小路では風が抜けにくいため、南・北か南東・北西といった、向井あった壁に窓を設けます、3面の壁に窓を設ければ、風向きに影響されずに通風できます。風上と風下に窓があれば、たとえば小さなサイズでも風が通り向けます。
窓から2面以上の壁にあると、日差しが入る時間が長くなるので、採光面でも利点があります。けれども、窓が1面しかとれす、2方の壁が廊下や吹き抜けに面している部屋なら、室内窓を設けて風を逃がす方法もあります。ドアの上に開閉式の欄間をつけるか、あけておいても邪魔にならない引き戸にする方法も、通風に効果的です。
▢光をじょうずにとり入れるには、窓の高さがポイントに
採光・通風ばかりか、インテリアや外観にも関係がある窓。方位やプライバシー保護、家具の配置、外観デザインなど、トータルに考えてプランすることが大切です。以前は引き違い窓が主流でしたが、最近では種類は豊富なので、目的に合わせて窓を使い分けるのもポイントです。また、窓は高さによって、光の広がり方などが違うことも念頭に入れておきましょう。
天井近くにつける窓をハイサイドライトといい、道路沿いや隣家が迫っている場所に最適です。外からのぞかれる心配がなく、隣家の大きな窓があっても、互いの視線が届かないため、プライバシーが保たれます。床面近くにつけるローサイドライトも、同様に、外から視線を防ぎながらも通風や採光が確保できます。採光が難しい密集地では、トップライトをつけるか、中庭を囲む間取りにして、家のすむずみまで光と風をとり込み方法もあります。
窓は、高い位置にあるほど採光量が多くなります。また、同じ面積の窓なら、縦長のほうが横長よりも部屋の奥まで光が差し込みます。掃き出し窓やテラス窓も、下がり壁をなくして天井近くまでの高さにすると、明るい日ざしがたっぷり入り、換気もしやすくなります。
▢+αのスペースが狭小住宅の収納不足を解消
敷地が狭く、床面積も限られた狭小住宅では、押入れなどの収納庫に十分な広さをさくことができません。また、庭がほとんどとれないと、物置が設置できないこともあるでしょう。そんなケースにおすすめなのが、通常はデッドスペースになってしまう小屋裏(ロフト)の活用です。上部に小屋裏スペースを作るプランも多く見られます。
小屋裏は、面積がすぐ下の階の2分の1以下で、天井の最後部が1.4m以下、小屋裏に上がるための階段は固定式のものではなく、簡単にとりはずせるはしごなどであること(自治体により異なる)が、容積率に算入されない条件になります。要注意なのが天井高で、平均の田朝が1.4m以下ではない点。用途は、原則として収納などに限られ、子供部屋などの居間として使用できません。自治体によっては設置できる窓の大きさなどが制限される場合もあります。小屋裏はゆとりのスペースにはなりますが、重いものの出し入れは不便かもしれません。
▢部屋に広がりが生まれ、ちょっとした飾り棚にも
狭い部屋を少しでも広く見せたい場合にとり入れてほしいのが、出窓。LDや寝室だけでなく、和室や浴室などにもおすすめです。ふつうの窓と違って外に張り出すため、室内に広がりが生まれます。ローボードを置くスペースがない小さなリビングでは、出窓を小物のディスプイスペースにしてもいいでしょう。キッチンのシンク前に設ければ、補助カウンターにしても使えます。狭い敷地では、出窓の奥行きを浅くするなど工夫してみましょう。
ただ、出窓が延べ床面積に算入されないためには、出窓の下端の高さが床面かた30㎝以上で、外壁かたの出っ張りが50㎝未満という条件があります。そのため、出窓の下に地袋をつけて収納してしまうと、延べ床面積に算入する必要が出てきます。また、室内側から見た出窓の正面部分は、2分の1が窓になっていなければなりません。
また、出窓は、一般の窓よりもコストが高めになります。収納を重視したい場合は、ふつうの窓をつけ、窓の下に沿って薄型の収納を設ける方法がおすすめです。
▢狭い敷地におすすめのビルトンガレージ
建物にとりこんだビルトイン車庫の場合、その面積が延べ床面積(車庫の面積も含む)の5分の1以下なら延べ床面積に算入されないという想定があります。1階を車庫にする場合、高さ制限や日影規制などの問題がクリアできれば、3階建てにすることが可能です。ビルトイン車庫には、屋根に車庫がとりにくい都市伝説の狭小住宅にも最適です。ただ、車の出入り口に柱や壁がつけられないため、耐震性を考えた構造にする必要があります。noahではテクノストラクチャー工法によって設計するため、耐震に強い家づくりが可能です。
▢プランターを置いて庭がわりに。物干しスペースにも重宝
ひさしや屋根のないバルコニーは、延べ床面積には算入されません。ひさしや八重がある場合は、以下の条件に合えば、算入されません。手すりから上の開放されている高さが1.1m以上で、かつバルコニーの天井高の2分の1以上、バルコニーの先端から外壁までが2m未満。
建築面積については、外壁からの出幅が1m未満なら不算入です。1m以上張り出される場合は、先端から1m後退したラインより内側の部分は、建築面積に算入。これは庇や軒の場合も同じです。
収納計画の基礎知識

限られた空間をより広く、快適に暮らすためには、的確な収納計画が欠かせません。持ち物をすっきりと収納し、維持管理するには、家のプランニングの段階から収納プランをおり込んでいくことが大切です。収納計画の基本的な手順と原則をまとめました。
🔳ますは持ち物のリストアップから!
収納は大きければいいというワケではない!
限られたスペースを広々と、すっきり暮らすためには、持ち物の量や種類をきちんと把握して、それに沿った収納計画を立てることが大切です。持ち物に合わせない収納スペースがあっても、部屋の中にはものがあふれ、収納スペースの中は空いていないという状態になりかねません。
たとえば、洋服なら、“丈のながいものがハンガーパイプに〇m分” “縦〇㎝×横〇㎝×高さ〇㎝の衣装ケースが〇個分”と具体的な量を確認。本や食器などは、現在使っている棚の大きさと個数をチェックします。その際、妻の分、夫の分、子どもの分と個別に把握するようにしましょう。
🔳「ものは使う場所にしまう」が収納の原則
「作業」「しまう」の流れがスムーズになるように
持ち物のリストアップが終わったら、次はその持ち物を作業の目的別に分類します。たとえば、建築家・加部千賀子さんが提唱する「さしすせそ」整理法。この整理法では、家事に必要な道具を下記の表を参照しながら、奥的ベルに整理していきます。「(さ)裁縫」「(し)事務」「(す)炊事」「(せ)選択」「(そ)掃除」、このほか「料理」「園芸」などの目的で持ち物を分けたら、同じ目的使う物は同じ場所にしまえるように収納計画をスタート。洗濯にるかう洗剤や道具は洗濯機のそばに、アイロンがけの道具はアイロンをかける場所に、といった具合にまとめ、作業と整理が一連の流れでスムーズに行えるようにしましょう。
収納計画の基本は「ものは使う場所にしまう」です。作業する場所かた離れたところに収納場所を設けると、使ったあとしまうのが面倒になり、つおい出しっぱなしになってしまうので注意しましょう。
🔳生活の変化に対応できるフキシブルな収納がおすすめ
5年後、10年後の変化を想定してみよう
収納計画をじっくり練ることは大切ですが、現在のライフスタイルに合わせて千三つに収納計画を立てても、5年後、10年後には家族構成や好みが変わり、持ち物の内容も変わってしまいます。すべての収納庫や棚を固定してしまうのではなく、将来の変化に対応できるような配慮もしておきましょう。
棚板の位置を帰らないようなダボ(棚受け)を使えば、収納物に合わせて収納スペース内を組み換えることが可能です。キャラクター付きの棚などを組み合わせれば、フレキシブルに模様替えできます。
🔳「つるす収納」と「たたむ収納」のバランスを確認
現在使用している収納スペースを目安に
衣類はハンガーにかけてつるしてしまうものと、たたんでしまうものとに分けられます。つるしてしまう衣類には丈の長いものと短いものがあるので、クローゼットをくつる時は手持ちの衣類に合わせて、ハンガーパイプを1段にするか、上下2段にするか決めましょう。
たたんでしまう衣類には、引き出しや棚が必要です。引き出しが目線より高い位置にあると、中身が見にくく、使いづらくなるので、配置には注意しましょう。ハンガーパイプの間口や、引き出し・棚の大きさについては、現在使用しているアンガーパイプの長さや引き出し、棚の大きさが目安となります。不足していると思ったら、ハンガーパイプを長めにするなど調整しましょう。
🔳「見せる収納」と「隠す収納」をうまく組み合わせる
「見せる収納」で四季の変化を楽しむ
本来、日本の住まいと言えば床の間があり、季節の行事の道具などを飾ることで、四季の変化を楽しんでます。「隠す収納」は部屋をすっきり見せるのに有効ですが、「見せる収納」をバランスよくとり入れると、家の中でも日本ならではの季節感を楽しむことができます。たとえば、壁面収納の一部をオープン棚にしたり、腰高窓の下に収納スペースをつくってその上を出窓風にすれば、季節の花や子供の絵、趣味の作品などを飾るスペースになります。
暮らしをシンプルにするコツ
生活の変化に伴って持ち物も変化する。
家づくりは「見直し」のチャンス!!
狭小住宅で収納スペースの確保は難しいものです。間取りや建物の造りによっては、3階建てやロフト空間をつくり収納スペースを確保することができます。
整理収納の5つのステップで暮らしを見直す
ライフスタイルが変わると、収納のあり方が変わります。だから、引越しや新築、リフォームの際に、整理収納の5つのステップで生活を見直すのは
とてもいいことです。もちろん、家の中で片づかなくなってきたと思ったときにも、この5つの捨男王を実践してみてください。
新築は、一から収納計画ができるので、使いやすい収納の家になる絶好のチャンスです。下記の家づくりのスケジュールに合わせたステップの実践方法を参考にしてみてください。
家づくりを依頼する前に
ステップ①ものを持つ基準を自覚する
「住まいの贅肉」はないかチェック
最初のステップでは、まず持ち物を見直して、これからの生活に必要かどうかを判断します。整理収納がうまくいかない原因の一つは、収納スペースに比べて、ものが多いことです。
「行動や趣味が変わっても、要らなくなった昔のものをずっとかかえたまま暮らしていることが多いものです。これは、“住まいの贅肉”そのままにしておくと、ものの出し入れに手間がかかり、掃除もしにくくまり、ものがあふれて生活空間も狭くなってしまいます。暮らしも、贅肉を落として身軽になる必要があります。
家づくりの計画が持ち上がったら、さっそく持ち物のチェックを始めましょう。新しい家ではどんな暮らしをしたいのか、具体的にイメージしながら、「これからの暮らしにも持っていたいもの」「いつの間にか不要になっていたもの」を見きわめましょう。
要るか要らないかは過去形と未来形で自問自答してみる
整理収納が苦手な人には、要・不要の判断や、ものの処分ができない人がいます。確かに、物を捨てるのには罪悪感が伴います。
「だから、このステップでは大いに時間をかけたほうがいいと思います。そのほうが、整理したあと、やみくもにものを増やさなくなります。」
判断のポイントは、「使わなくなったら、これが必要になったことがあったか?」と過去形で考えること。「いつか使うかもしれない……」と思うものは、「いつって、いつ?」と自問してみてください。答えがないものは未来も使わないものです。いつ使う変わらないものにスペースをとる必要はあるのでしょうか。必要になったときに、必要なぶんだけ購入したほうが、何かにつけ効率はいいです。
プランニング中に
ステップ②不要品をとり除く
分類しようとせずに不要なものを間引いていく
新しい家に持っていくものの基準が決まったら、間を置かずに費用品をとり除くステップ2へと進みましょう。ここでのポイントは、費用なものだけをとり出すことです。
ものを分類しようとすると、いったん全部をとり出さなくてはならず、作業が終わるまで片づかない、という状況に陥りがちです。「間引く」感覚で不要品だけを出すようにすれば、少しの時間でもできます。年もかけてしまったものが、短時間で片づくはずがありません。一目でチェックする範囲を決め、一部分ずつ間引きをしてください。
捨てられない理由をしっかり見きわめる
新しい生活には不要、と判断できても、捨てることができない……。そんなものが、なかには出てくるかもしれません。そんなときは、捨てられない理由を考えてみましょう。捨てられない理由は人それぞれ、ものそれぞれです。でも、一つずつ、手に入れたいきさつと、要らなくなったいきさつがあるはず。それははっきり言うことができれば、未練を断り切りやすくなります。
まだ使えるからもったいないという場合は、リサイクルやオークションに出すという手もあります。また、思い出があって、使わないけれども捨てたくないというものは、無理に捨てる必要はありません。思い出の品という、りっぱな存在理由があるからです。
プランができてきたら
ステップ③ものを置く位置を決める
「どこに何を置く?」のヒントは、「だれがどこで何をする?」
家づくりの依頼先が決まり、ラフプランができてくることには、次のステップへと進みましょう。ステップ3では物を置く位置を決めます。
整理収納を成功させる原則は「すべてのものに、“家”をつくる」ことです。「より少ない歩数」と「少ない動作」で戻せる場所を収納スペースにすれば、ものを元に戻すのが面倒でなくなります。
最短の距離でものが出し入れできるということは、使うものが、使う場所にあるということです。つまり、「どこに内を置くか」は、「だれがどこで何をするか」で決まってくるのです。
優先順位は使用頻度で決める
行動する場所に収納スペースがあっても、そこにしまいたいものがたくさんありすぎて、全部はしまいきれない場合があります。そんなときは、そのなかでもいちばんよく使うものを優先して入れ、年に数回しか使わないものは、ほかの収納スペースに移します。ものを出し入れするために必要な〈歩数〉と〈動作数〉を足した数字を〈収納指数〉として指数が少ないほど楽な収納で、多いほど面倒と感じる収納です。毎日何度も使うものの収納指数が多ければ、トータルするととても高い数値になりますが、年に数回しか使わないものは指数は多くても、数値は高くなりません。常に「収納指数が少なくなる」ように考えて収納します。
関連収納にするとだれもがわかる収納に
読み終わった新聞と、それに梱包するひも、ひもを切るはさみが一緒においていれば、あちらこちらへ取に歩かなくてすむので、少ない収納指数で、使う物がそろいます。このように、同時に使う物をまとめて置くことを「関連収納」といいます。
関連収納の良いところは、何か行動を起こしたときに必要なものが一ヵ所にそろっているので、だれが見てもわかりやすいことです。「お母さん、ひもはどこ?」と聞かれることがなくなり、戻す場所も覚えやすいので、家族が自分で片付けてくれるようになります。
処分するもの、保留品も置く場所を決めておく
ここまでは主に、日常でよく使うものの置き場所について説明してきましたが、家の中には、「いずれは処分するが、それまでは家の中に置いておくもの」や「処分するかどうか判断を保留しているもの」もあります。いずれも処分するものの代表は、古新聞やリサイクル品など。これらの置き場所も、きちんと決めておかないと、家の中は片づきません。原則は「すべてのものに、“家”をつくる」なのです。
加えて、子育て中の家庭で4は、これから増えていくものを未来形で考えておく必要があります。「生活の道具は、ある一定量から増えることはそうないのですが、子どもが成長する過程では、ものは増えていくと考えましょう。収納スペースは、今持っているものにぴったり合わせてつくるものではなく、ゆとり分として2~3割くらいをみておくといいでしょう。
プランができてから
ステップ④入れ方を決める
最短でとり出せるのが」もとに戻せる収納のコツ
ものの置き場が決まったら、次はものの入れ方を決めます。ステップ4のキーワードは、前述の〈収納指数〉のひとつ「〈動作数〉をいかに少なくして出し入れできるか」です。
動作数は、しまったものを出して入れるまでの動作の数を数えます。たとえば、リビングのクローゼットの中の蓋つき籠の中にひもがしまっているとします。これをとり出す場合は、①クローゼットの扉をあける、②カゴをとり出す、③蓋をあける、と3回の手間がかかります。箱を逆の動作でいったん元に戻し、さらに、ひもをしまうときの動作を繰り返すので、収納指数は合計12と数えます。
カゴではなく引き出し式の収納にかえると、①クローゼットの扉を開ける、②引き出しを引く、の2回×4で合計8になり、収納指数は12から8へと減らすことができます。このように、できるだけ動作を減らすのが楽な収納です。
究極の入れ方は、動作ゼロの「見える収納」です。見えないから、どこにしまったかを考えなくてはなりません。考えなくてもとり出せれるのが、一番面倒がない。見た目が許される限り、ごろ動作のしまい方にするのがおすすめです。
ものの入れ方は収納スペースの立面図に描く
ラフプランには、いわゆる間取り図と呼ばれる平面図のほかに、正面から見た形を図にした立面図があります。ステップ4では、収納スペースの立面図を描くことが重要です。
たとえば、クローゼットの中はどの高さにハンガーパイプをつけ、棚は何段にするのか、押入れの団の高さはどうするのか、市販の収納物を入れた状態を想定して、ざっくりとした正面の図を描きます。
設計者は、収納の内部の造りは住む人に任せるという姿勢のことが多いので、施主がどこに何を入れるかをしっかり考えておかなければ、せっかくのスペースも、使いがっての悪いものになりかねません。また、収納スペースの奥行きも、使い勝手に影響するので、注意しましょう。
絵を描く作業がどうも苦手というかたは、設計者に「私はここにコレをこのように入れたい」と文書で伝えるだけでもいいと思います。
このステップの計画をどこまで考えたかで、新居の暮らしやすさに格段の差が出ます。ステップ3、4は気合を入れましょう!
収納プランができたらインテリアのプランへ
設計図上で収納スペースの場所が決まったら、次はインテリアプランです。
実はインテリアも設計の段階から計画する必要があります。それは、たとえばここに絵を飾りたいという場合、ピクチャーレールをつけたり、壁面補強が必要だったろします。また、飾り棚を置きたいという場合も、その壁面などを確保しておかなければなりません。
そうすることで、散らからない、インテリアも映える住まいが実現します。
毎日の暮らしで
ステップ⑤快適収納の維持管理
どうしてももとに戻れない場合の修正をする
ステップ4を終えたら、あとは家の完成を待って引越しをするのみです。計画通りにものをしまっていけば片づくので、再度のステップは、微調整とそのあとの維持管理となります。
ものの、“家”がきちんと決まっていても、それを基に戻せなければ、整理収納にはなりません。どうしてももとに戻せないものが出てきたら、どのステップが問題があったか考え、より戻しやすいように軌道修正をします。こういった微調整のためにも、棚板は可動式にして、ダボ穴はこまかいピッチで上から下までとぎれなくつけるなど、可変性をもたせておくといいでしょう。
これ以上、ものをふやさない工夫も必要
ステップ1、2の段階で、自分に必要なものを見きわめることができた人は、収納スペースや処分の時のことを考える習慣がつき、むやみにものを考える習慣がつき、むやみに物を買うこと自体がなくなっていると思います。使いやすい収納スペースを維持するのは、不要なものを増やさない心がけが必要不可欠です。
それでも、物があふれてしまったとき、またはライフスタイルが変わって不要なものが出てしまったときは、整理収納のシステムを見直すときです。ステップ1に戻って同じ手順を繰り返してください。この5つのステップを繰り返すことが整理収納です!
子どもが独立してからの生活は、「これかたらの人生でゆったり過ごせるか」を基準にして見直す
ものを持つには気力・体力も必要。早めに整理収納を始めて
リタイア後の生活を具体的にイメージ
30代から40代にかけては、家族も暮らしも拡大していく方向に進みます。ところが、子どもが独立してしまうと、もう成長する人がおらず、暮らしを拡大していく必要がありません。と同時に、夫婦二人とも基本的に気力も体力も衰えていきます。たくさんのものを持つということは、それを動かす体力と維持する気力を非常に使うものなのです。これからの暮らしの変化に合わせて、整理収納を見直すタイミングがきたと考えましょう。
とはいえ、やみくもに「暮らしをシンプルに」と考えると味気なく感じ、やる気が起こらない人もいるでしょう。50代以降の世代は、リタイア後の残された時間をいかに楽しんで快適に生きていくかを、まずは具体的にイメージすることから始めましょう。老後の家を新築する場合は、老親を引きとることや、お互いの介護のことなども考慮します。
生活の道具は少なく、日用品のストックは少し多めに
少ない家族の暮らしでは、生活家具や雑貨が新しく必要になることは、ほとんどありません、今使っているものだけがとり出しやすく置かれている状態にして、それ以外のものは処分していきましょう。
日用品のストックは、若いころは必要になったら身軽に買いに行けることが多いのですが、これからはそうとも言えない場所を考えて、少し多めに持ってもいいでしょう。
これからの生活は、残っている時間とお金を意識しつつ暮らしていくことになります。今あるものを生かして、不要なものをなるべく買わないようにしましょう。
「どうしても手離せない」なら、無理して処分しまい。思い出として別にとっておく
ものとのつきあいが長くなっているだけに、ものの要・不要が見きわめる作業には時間がかかり、なかなか判断がつかないかもしれません。けれども、そのものを手に入れたいきさつや以前の暮らしを思い出す作業は、自分に生きてきた道を振り返ることになります。仕事も育児も現役を離れて、時間はたっぷりあるのですから、じっくりとものと向き合ってみましょう。そのものが果たす役割はもう終わった、と納得できれば、気持ちよく処分できるはずです。
「使わないけれど、どうしても捨てられないもの」も増えてきていることでしょう。そんなときは、無理して処分せずに、思い出の品として収納スペースを確保できるように工夫しましょう。大切な思い出を懐かしむためのものは「不要品」ではないのです。
まとめ

大阪の狭小住宅を最大限に活かす家づくりは、限られた空間を快適な住まいに変えるための挑戦のようなものです。まず重要なのは、立地を最大限に活かすこと。大阪は都市部が多く、狭小地でも駅近など利便性の高い立地を選べることが魅力です。周辺環境や採光、風通しなどを考慮し、その土地ならではの特性を活かした設計を心がけましょう。
次に、空間を有効活用する工夫が必要です。縦の空間利用として、3階建てやロフト、スキップフロアなどを活用し、立体的な空間構成で居住スペースを確保しましょう。収納スペースは、壁面収納や床下収納、階段下収納など、デッドスペースを有効活用することが重要です。間取りは、可動式の間仕切りや引き戸などを活用し、ライフスタイルに合わせて空間をフレキシブルに使い分けましょう。
光と風を取り込むことも、快適な住まいづくりには欠かせません。天窓や高窓、トップライトなどを設け、自然光を最大限に取り込みましょう。風の通り道を考慮した窓の配置や、通風性の高い建材を選ぶことも重要です。
デザインの工夫も、狭小住宅を広く快適に見せるために重要です。白や明るい色を基調とした内装は、空間を広く見せる効果があります。鏡を効果的に配置することで、奥行き感を演出できます。家具は、背の低い家具や、透明感のある素材の家具を選ぶことで、圧迫感を軽減できます。
最後に、信頼できる専門家の選定も重要です。狭小住宅の経験が多い甲信建築『noah』で建築家と相談しながら、理想の住まいを形にしましょう。
このポイントを抑えて、大阪の狭小住宅でも、快適で自分らしい住まいを実現してください。